情報発信リスク回避ガイド

公開済み情報発信の削除・修正に潜むリスク:判断基準と正しい進め方

Tags: 情報発信リスク, コンテンツ管理, リスク対策, 炎上対策, 社内規定, ガイドライン, 広報実務

はじめに

企業の情報発信において、コンテンツを公開して終わりではなく、その後の管理も重要なリスク対策の一環となります。特に、一度公開したコンテンツに問題が見つかった場合、あるいは時間の経過と共に不適切になった場合、削除や修正の対応を検討することになります。しかし、この「削除・修正」という行為自体が、新たなリスクや炎上を引き起こす可能性もはらんでいます。

本稿では、公開済みの情報発信コンテンツの削除や修正が必要となる場面、それに伴うリスク、そしてリスクを最小化するための判断基準と具体的な進め方について解説します。

公開済み情報の削除・修正が必要となる場面

公開済みの情報発信コンテンツについて、削除や修正の対応が検討されるのは、主に以下のようなケースです。

削除・修正が引き起こす可能性のあるリスク

情報発信コンテンツの削除や修正は、問題解決のために行う行為ですが、方法やタイミングを誤ると、かえってリスクを増大させる可能性があります。

削除・修正判断の重要な基準

コンテンツの削除や修正が必要な状況に直面した場合、感情的な判断や場当たり的な対応はリスクを高めます。以下の基準に基づき、冷静かつ総合的に判断することが重要です。

リスクを最小化する削除・修正の進め方

削除や修正を行うと判断した場合でも、その手順を間違えるとリスクが高まります。以下のステップで進めることが推奨されます。

ステップ1:事実確認と状況把握

ステップ2:対応方針の決定

ステップ3:実行

ステップ4:事後対応と検証

事前に準備しておくべきこと

炎上やトラブルは予期せぬタイミングで発生します。いざという時に冷静かつ適切に対応できるよう、事前の準備が不可欠です。

まとめ

企業の情報発信における公開済みコンテンツの削除や修正は、新たなリスクを生む可能性をはらんだ繊細な対応が求められます。不適切な情報を放置することはできませんが、対応方法によってはかえって企業の信頼を損なう事態に発展しかねません。

削除・修正の必要性を判断する際には、情報の正確性、法的・倫理的な問題、拡散状況などを総合的に考慮し、安易な隠蔽と捉えられないよう、透明性にも配慮した対応が求められます。そして、いざ対応を行う際には、事実確認、方針決定、実行、事後対応というステップを踏み、関係部署と連携しながら慎重に進めることが重要です。

平時から削除・修正に関する社内ガイドラインを整備し、対応フローを明確にしておくことは、有事の際に冷静かつ迅速に対応し、リスクを最小限に抑えるために不可欠な準備と言えるでしょう。企業の情報発信担当者は、コンテンツを「公開すること」だけでなく、「公開したコンテンツを適切に管理すること」にも常に意識を向ける必要があります。