情報発信リスク回避ガイド

インフルエンサー・SNS運用代行に潜むリスク:外部委託における情報発信リスク管理

Tags: インフルエンサーマーケティング, SNS運用代行, 外部委託, リスク管理, ステルスマーケティング, 契約

企業の広報・マーケティング活動において、SNS運用やインフルエンサーを活用した情報発信は不可欠な手段となっています。しかし、自社のみで全てをカバーすることが難しいため、外部の専門企業や個人に委託するケースが増加しています。外部委託は効率的かつ効果的な情報発信を可能にする一方で、固有のリスクも伴います。特に、自社の直接的なコントロールが及びにくい外部委託先による情報発信は、予期せぬ炎上やブランドイメージの毀損につながる可能性があります。

本記事では、企業の広報・マーケティング担当者の皆様が、インフルエンサーやSNS運用代行、広告運用代理店などの外部委託を活用する際に注意すべき情報発信リスクと、その具体的な管理・対策について解説します。

外部委託における情報発信リスクの種類

外部委託における情報発信リスクは多岐にわたりますが、主なものとして以下が挙げられます。

  1. ステルスマーケティング(ステマ)関連リスク:
    • 広告であることを隠して情報発信が行われ、景品表示法等に抵触するリスク。
    • インフルエンサー自身や運用代行会社の認識不足や悪意により発生する可能性があります。
  2. インフルエンサー自身の言動・過去に関するリスク:
    • インフルエンサーが過去や現在において、不適切な言動、炎上、事件等を起こしている、あるいは今後起こすリスク。
    • 企業と契約している期間外のプライベートな言動が、企業のイメージに影響を与えるリスク。
  3. 情報発信内容に関する認識のズレや誤り:
    • 委託先が企業側の意図やブランドイメージを十分に理解せず、不適切な表現や誤解を招く内容を発信するリスク。
    • 企業が提供した情報やガイドラインの解釈を誤るリスク。
  4. 委託先のミスによる情報漏洩やアカウント乗っ取りリスク:
    • SNSアカウントのログイン情報の管理不備による流出や不正利用リスク。
    • 内部体制の不備による誤送信や不適切な情報公開リスク。
  5. 緊急時対応における連携不足:
    • 炎上やトラブル発生時に、委託先と企業間の情報共有や対応方針に関する連携が遅れ、事態を悪化させるリスク。
    • 委託先が企業の承認を得ずに独自の判断で対応するリスク。
  6. 契約内容の不明確さ:
    • 責任範囲、報告義務、コンテンツの所有権、緊急時対応、契約解除に関する条項が不明確であることによるトラブルリスク。

インフルエンサーマーケティングのリスク対策

インフルエンサーを起用した情報発信においては、特にインフルエンサー個人の影響力や、広告であることの明示が重要になります。

1. 適切なインフルエンサー選定

2. 契約とガイドラインの整備

3. 投稿前の確認と投稿後のモニタリング

SNS運用代行・広告運用代理店のリスク対策

SNSアカウントの運用全体や広告運用を外部に委託する場合、企業はアカウントへのアクセス権限を与えることが多く、より密接な連携と信頼関係が求められます。

1. 委託先の選定と契約

2. コミュニケーション体制の構築

3. 運用ルールの共有と遵守徹底

4. レポートとモニタリング

外部委託全体に共通する重要なポイント

インフルエンサー、運用代行に限らず、外部に情報発信を委託する際に共通して重要なのは、単に業務を依頼するだけでなく、リスク管理を共同で行うパートナーとして位置づけることです。

まとめ

インフルエンサーやSNS運用代行への外部委託は、企業のマーケティング効果を高める強力な手段です。しかし、その利便性の裏には、自社の直接管理が難しいことによる固有のリスクが潜んでいます。

これらのリスクを最小限に抑えるためには、委託先の慎重な選定、詳細かつ明確な契約とガイドラインの整備、投稿内容の事前確認、そして継続的なモニタリングと密なコミュニケーションが不可欠です。また、万が一のトラブル発生に備え、緊急時の連携体制を事前に構築しておくことも重要です。

外部委託を成功させる鍵は、委託先との間に単なる取引関係を超えた信頼関係を築き、リスク管理を共同で進めていくパートナーシップ意識を持つことにあると言えるでしょう。本記事が、皆様の外部委託における情報発信リスク対策の一助となれば幸いです。